株式会社アルテサロンホールディングス
代表取締役会長/吉原 直樹 氏 Yoshihara Naoki
1956年1月横浜市生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、美容機器メーカーに入社。1981年美容室チェーンに転職し、31歳で美容師免許を取得。美容師としても活躍し1986年に横浜市に美容室を開業、88年に有限会社アルテを設立。美容師としてのキャリアを積む一方経営者としての才覚も現す。東京、神奈川を中心に「Ash」ブランドの「のれん分けフランチャイズ方式」という独立支援システムで業績を伸ばし、2004年8月にJASDAQに上場を果たし日本最大の美容グループへと成長させる。
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人々の文化を作る
2020年新型コロナウイルス感染拡大以降、美容の仕事が人々の生活になくてはならないという事がよくわかりました。生活行動が制限される中で人々が優先的に行きたい場所は「美容室」でした。飲食などは別としましていわゆるエッセンシャルワーク（※）として社会的にも認知をいただけたのではないかと思います。女性も男性も関係なくヘアスタイルを通じて日常に豊かさをご提供できます。そして人生に喜びや幸せを感じていただけます。美容師さんはまさに人々の文化を作る仕事だと思います。
※生活の根幹を支える医療や福祉、保育や第一次産業、行政や物流、小売業やライフラインなどで働く人々の事
100歳まで働ける仕事
ユーチューバーとかゲーマーになりたいという若者が増えています。確かに20代でたくさんのお金を稼げるチャンスはあります。しかし、いつまで働けるかというと疑問です。これはプロボクサーなどのスポーツ選手も同じです。20代がピークで30代には次の人生を考えなくてはいけません。しかし、美容師さんは20代、30代、40代とどんどん技術や知識など能力が上がっていく仕事です。そしてお客様と共に年を重ねられる仕事です。高齢化社会において、60代、70代になっても活躍できる事が大きな特徴です。「キレイでいたい」と願うのは高齢になっても変わりません。お客様がいらっしゃる限り美容師は続けられます。100歳を過ぎてなお働く美容師さんが存在するくらいです。
AI社会で残る産業
また美容室は技術だけを提供する場所ではありません。シャンプー、カットなどをして30分以上は滞在する事がほとんどです。その時間美容師さんと触れ合ったり話をして過ごす事に喜びを感じてくださるお客様は多いです。私たちのサロンでも20代から様々な年代のスタッフが働いていますので、高齢のお客様も孫世代のスタッフとの話しを楽しみにしてくださっています。世の中では技術革新、デジタル化が進み仕事にもその領域が入っています。身近なところでお医者さんの仕事をみてみましょう。PCR検査や血液検査などわざわざお医者さんに行く必要がなくなり、コロナで遠隔診療のサービスも増えました。コンビニの無人化もそうです。他にもそのような仕事は多く、美容師さんの仕事は人対人、リアルで人々の生活を豊かにする唯一の残っていく産業ではないかと思います。
美容師さんの年収を上げていく
「なんのために経営をしているのか」経営には目的が大切なのですが、私は「良い美容師さんを作りたい」と考えています。創業時に掲げた最初のテーマを崩さずこれからも実現していきます。地域で良いお店を経営する、良い美容師さんを育てる、地域のお客様に満足していただいて高い質のカルチャー（文化）を提供し続ける、美容師さんのライフワークバランスや豊かな生活を守れるようにしていく、私たちはそういうブランドにしていこうと考えています。豊かな生活のためには仕事のやりがいはもちろん、美容師さんの年収をあげていきたいと思います。首都圏やローカルなど色々な条件はありますが、私たちの出店エリアにおいては世帯年収を１千万円以上取っていただける仕事にしていきたいと考えています。そういう意味ではまだまだ付加価値を上げられる業界だと思います。
時代は君の邪魔をしない
コロナになり自分の将来に不安を感じる若者が多いと聞きます。しかし歴史をみてみましょう。君たちのひいおじいさんは若い時に戦争に行きました。国から強制されるため自分ではどうしようもできなかった時代でした。兵隊さんになっているので脱走するわけにもいきません。今思えば理不尽な敵陣特攻で命を落とした若者も多かったです。個人で何かしようと思ってもできない時代でした。今の時代はどうでしょう。時代がみんなにやりたい事をさせないという事はないと思います。なろうと思えばなんでもできるし、自分で方向性さえ定めれば自分の夢の方向に舵を切れる時代です。だから自分で舵を切る勇気を持てばいい話です。
どんどん失敗をしていこう！
誰でも失敗なんかしますよ！失敗しないと技術もそうだけどうまくなりません。失敗を恐れるのではなくて、たくさん失敗をしてどうやったらうまくいくのか。という事を考えればいいだけです。先輩や指導者にこうやったらだめだよ、という事をわざとやればそれは失敗します。逆に言えば、今の時代は指導者がたくさんいて「こうやったらうまくいくよ」と言ってくれているのでそれに乗っ取ってしっかりやっていれば大失敗はしないですよ。例えば料理人にしても失敗の連続の中でしか美味しいお料理は作れないと思います。色々な調味料、色々な配分、色々な焼き方など、試行錯誤の連続で美味しい料理が作れます。スポーツだってなんだってそうでしょう。色々な失敗をして運に恵まれてそれを自分のチャンスに変え大きな結果を残す事ができるのです。美容業界にも逆境を乗り越え大きな結果を残されている先輩がたくさんいます。勇気を出してぜひ、自分の夢に挑戦していただきたいと思います。
